夕暮れ時に南の空高く月が昇っていた。見上げると上弦の月になりかけている。
「朝から晴れて、ひどく暑い。ソビエト船オルジョニキーゼ号(五千トン?)には、ソ連作家同盟の招待をうけた小林秀雄、佐々木基一、それに私の三人のほか、百六十人ほどの日本人が乗りこんでいるという。」
安岡章太郎の『ソビエト感情旅行』(角川文庫)を読み始める。イタリアのことわざ《Chi va piano,va sano e va lontano.》で読むこと。
鶴見俊輔のいう「退歩にとっての読書」で・・・。
安岡章太郎の新刊『カーライルの家』(講談社)、装丁デザインが渋い。この本で小林秀雄の思い出を書いているね。
『随筆集 風のすがた』では、安岡さんは丸亀の妙法寺にある蕪村の「蘇鉄図屏風」にふれていたなあ。丸亀駅と丸亀城の途中にあるお寺だ。蕪村はこのお寺に何度も滞在した。