安岡章太郎の『ソビエト感情旅行』を読む

菜の花

 昨日から冷え込んでいる。ぶるぶる。寒い。山間部では積雪だそうだ。そんな冷え込んでいる冬の日なのだが、歩道のそばにもう菜の花が咲いていた。花の黄色が鮮やかだ。
 夕方に昇った月は満月で、夜になってもしんしんと冷え込む。
 NHKラジオで「いとしのオールディーズ」を聴く。
 今夜のゲストは画家の小杉小二郎さんで、司会は青木裕子アナウンサー。フレンチポップスやアメリカンポップスをお二人の楽しい話の間に聴きながら。
 「絵というものは、人に教わるものじゃなく、自分で学ぶもので、それでよかったと思っています。」中川一政さんに弟子入りしたときのエピソードを話されている。
 その後、安岡章太郎の『ソビエト感情旅行』(角川文庫)を読む。旅行記レニングラードドストエフスキーの墓のあるネフスキー寺院の墓地へたどりついたところまで来た。小林秀雄と二人で訪れた日の日記。*1

・・・・・・小林さんが、その墓の前に立ったところを記念撮影するつもりでカメラをかまえる。小林さんの『ドストエフスキーの生活』が出版されたのは、もう二十年以上まえのことだ。はるばると来つるものかな。というより何だかこうして写真をうつしている自分自身のことが嘘のように思える。ファインダーの中で小林さんの顔は、はじめ少しテレたような笑いを浮べ、それから意識して口を堅く結ばれる。ここだ、と思ってシャッター・ボタンを押したが、残念ながらフィルムが切れて、シャッターは動かなかった。  153〜154頁

*1:レニングラードは、1991年9月より、元のサンクトペテルブルクに地名変更。