『容疑者の夜行列車』の奇妙さのこと

 多和田葉子の本のタイトルをめぐる、面白い指摘を読んだ。『群像』2007年2月号の《「翻訳の詩学」―〈エクソフォニー〉を求めて》と題した対談で、野崎歓が語る本のタイトルの奇妙さのことである。多和田葉子柴田元幸小野正嗣さんとの会話の中で、

 野崎 『容疑者の夜行列車』って、このタイトル奇妙でしょう。「容疑者」をローマ字で書くとすぐわかりますけれども、YOGISHAですから、「夜汽車の夜行列車」というのが後に響くわけです。そうするといよいよタイトルの意味がわからなくなってくる。列車があらぬ方へ走り出してしまう。そんな動きを常にはらんでいるんですね。

 ふーむ。そういえば、他にも奇妙なタイトルがあるような・・・。
容疑者の夜行列車