二もとの梅に遅速を愛す哉

白梅

 快晴で日差しは強く、やや気温が下がる。通りの樹木の中に梅の木が花をつけている。夕暮れの闇が濃くなってゆく中で、白梅の白がほんのり見え隠れしていた。蕪村の安永三年(1774年)と四年の句に、

二もとの梅に遅速を愛す哉
しら梅や誰(たが)むかしより垣の外

 夕方の西南西の空に星が一つ、明るく輝いていた。高度は二十五度位の位置にあって、目立つ。金星だ。
 午後八時の空を眺めると、冬の星座が華やいでいる。南東におおいぬ座シリウス、そのシリウスを右上にたどって、オリオン座のリゲル、おうし座のアルデバラン、天頂付近のぎょしゃ座のカペラ、南東に戻ってふたご座のポルックス、その下方のこいぬ座プロキオン、これらを結ぶ大きな六角形「冬のダイヤモンド」。