内山節の『「里」という思想』

白梅

 今日は二十四節気のひとつ雨水(うすい)である。

二月十九日ごろ。水ぬるみ、草木の芽が出始めるころの意。  『大辞泉

 通りや畑に植えられた白梅が満開であった。花の香りが、辺りに漂っている。幹や枝の色と梅の花の白さにはっとする。蕪村の句に、

鳴滝の植木やがむめ咲きにけりみの虫の古巣に添ふて梅二輪

 二句とも安永五年の句である。
 先日のラジオ深夜便の「ないとガイド」のゲストが、内山節氏であった。群馬県上野村便りといった話に興味を持ったので、『「里」という思想』を読み始める。本書は『信濃毎日新聞』に二〇〇〇年一月から二〇〇二年三月まで連載されたものに、加筆した文章だ。
「里」という思想 (新潮選書)