梅ちりてさびしく生しやなぎ哉

枝垂れ柳

 季節がひと月後戻りしたかのようである。晴れて日差しは強い。だが風は冷たいのだった。枝垂れヤナギを近くで観察すると、黄緑色の穂状の花が見られた。『蕪村句集』に、

梅ちりてさびしく生(なり)しやなぎ哉

 阿川弘之の『七十の手習ひ』から「追懐 淳之介との四十年」を読んだ。雑誌『サライ』にも再録されていた文。
 安岡章太郎の『僕の昭和史?』に、吉行淳之介の昭和二十年四月ごろの話が書かれている。その後に、三島由紀夫が昭和二十年二月に、勤労動員先の群馬県中島飛行機小泉工場から、入隊検査の際軍医の誤診により即日帰京とある。森本哲郎多田道太郎さんらと同じ工場にいたということになるのか。