地方の図書館を訪ねて歩いている。これは私ではないのだが、あちこちの地方の図書館を訪ね歩いている人の図書館訪問記を読んだことがある。
海野弘の『海野弘 本を旅する』(ポプラ社)で「都市と図書館」という文を読んでいて気づいた。その地方の図書館を訪ね歩いている人が、海野弘さんなのだった。読んでいて、そのフットワークの軽さと図書館と古本屋を訪ねるスタイルに魅了された。
私の利用している図書館にも海野さんが、新設された直後に訪れて建物や蔵書(郷土資料など)を調べているので、ちょっと驚いたことがある。
この「都市と図書館」には、海野弘さんの関心と方法とが語られているが、私の関心と重なる部分もあるので、面白く読んだ。
海野さんの文を少し引用する。
地方を歩いてみると、日本の文化がいかに東京中心に眺められているかがわかる。東京にいると、それらの東京中心にまとめられた資料がすべてであるかのように見えるのである。そして地方もまた東京を向いており、自らのことは調べる価値がないと思っているようなところがある。
このような情報の東京中心性を破るためには、こつこつと足で歩くしかないのではないだろうか。(中略)
私は図書館だけでなく、その街の古本屋も訪ねることにしている。図書館の資料だけでは充分ではない。私が調べている都市の風俗などの領域は、まだまとめられていないので、図書館のきちんとした分類では落ちてしまう雑本の中に見つけることができるからである。 158〜159ページ