『ブリキ男』を読む

枇杷の実

 昨日の夕方に夕立があって、雷鳴と落雷が聞こえたり見えたりした。夜半まで雨模様だったが、今朝は晴れ上がった。
 散歩の途中、枇杷びわ)の実が鈴なりになっていたので、そばに近寄って下から見上げる。青空と枇杷の実の橙(だいだい)色との対比が鮮やかである。枇杷が食べ頃の季節になった。
 「夾竹桃花なき墓を洗ひをり」という句の石田波郷であるが、結城昌治の『死もまた愉し』(講談社文庫)で、波郷に清瀬の病院で出会ったエピソードがある。それで、その清瀬の地図をちょっと見てみよう。
 参照:清瀬の地図

 秋山祐徳太子『ブリキ男』(晶文社)を読んだ。書き下ろし自伝。
 田中小実昌田村隆一とのエピソードなどもある。とりわけ種村季弘邸で開かれる宴会に集る人たちの話がいいね。
 中京大学アートギャラリーC・スクエアで写真展を、高梨豊赤瀬川原平との三人で開いている「ライカ同盟」のことも書かれていた。
 中京大学総長である梅村清弘氏のエピソードも面白いなぁ。
 最後の「敗者の一撃をめざして」は一読の価値あり(?)。
 いや、一見の価値ありか。神蔵美子さんの撮影した写真は・・・。

 しかし、私の人生は敗北の人生だったのかもしれない。それも、敗北の道を好んで歩んできたような気がする。勝ち組、負け組という言い方もあるが、私はいつも敗者の一撃をめざしていたのかもしれない。まさに山口昌男先生の『「敗者」の精神史』ということか。  290頁

ブリキ男