四方田犬彦の『越境のレッスン』

タチアオイ

 今日は二十四節気のひとつ夏至である。
 昨夜から雨模様で、今日は曇って降ったり止んだりだった。
 白や淡紅色の花が雨に濡れている。スラリ縦に伸びたタチアオイである。
 ムクゲとフヨウの花に似ているが、同じアオイ科の仲間であるからかな。

アオイ科の越年草。高さ約二メートル。葉は心臓形で浅い切れ込みがある。花茎は長く、梅雨のころに、紅・白・紫色などの大きな花を下から上へ順に開く。観賞用。はなあおい。つゆあおい。からあおい。あおい。  『大辞泉

 『大辞泉』の引用句に、「三方に蝶のわかれし立葵(たちあおい)」。中村汀女
 四方田犬彦『越境のレッスン』から垂水千恵と四方田との対談を読む。タイトルは「分裂した言葉の島で」。一九九二年一月の対談だが、映画『悲情城市』という台湾映画を観たときに、話されている言葉がつよく印象に残っていたのが、この対談で納得するところあり。
 それと、邱永漢を、

四方田 日本文学の中ではっきりと意識的に亡命について言明したのは邱永漢だけですね。彼がそういう意味で二〇世紀の世界文学の中で日本への亡命者という点で、ナボコフとかジョイスとかそういう人間と比較すべきだと思います。書き方は色々違いますが。その後「お金持ちになる本」とかそういうことになってしまったということを含めて、亡命者の在り方ということで言えることだと思うのです。  134頁

 その後、立原正秋直木賞になった時に、芥川賞が欲しかったのだと宣言したことの深層心理に言及していて興味深い。