「シモーヌさん」のclou

 二十三日、老舗書店で『新刊ニュース』、『本』2007年7月号をもらう。岩波の本のコーナーで文庫新刊を見ていると、ジョイスの『若い芸術家の肖像』(大澤正佳訳)があった。
 冒頭や巻末の訳者解説を読んでいると、ジョイスの墓がスイスのチューリッヒにあるという。先日、『越境のレッスン』で四方田犬彦が言っていた亡命者のあり方で、ナボコフとかジョイスとかそういう人間と邱永漢を比較するべきだ、と述べていたのを思い出した。
 そういえば、ジョイスがスイスのチューリッヒトリエステから移った頃、レーニンも亡命して来ていた。
 山田稔の『八十二歳のガールフレンド』(編集工房ノア)を読んだ。

シモーヌさん」という文で、シモーヌさんが書いてきた手紙のclouという言葉を、山田さんは、催しものなどの「目玉」という意味があることがわかった、と書いている。
 それを、山田稔が編者のひとりである『クラウン仏和辞典』で調べてみた。『クラウン仏和辞典』では、(催し物の)呼び物、と記述されているのだった。うーむ?