ところてん逆しまに銀河三千尺

 晴れて梅雨の中休みといったところであるが、風があっても蒸し暑い。
 ところてん、葛切りを冷やして食べたくなる。
 蕪村の句に、

ところてん逆(さか)しまに銀河三千尺

 安永六年の句である。
 書店に寄り、『本の話』、『青春と読書』、『本の窓』、『新刊展望』2007年7月号をもらう。
 『本の話』に、小林信彦の新連載「黒澤明という時代」が始まっている。いよいよ始まったというべきか。
 1「姿三四郎」で戦時下に登場で、黒澤明の第一作映画「姿三四郎」にふれている。
 姿三四郎といえば、尾道浄土寺の近くに「姿三四郎」の銅像があった。浄土寺秘仏が公開されるというので、見に出かけたときに出くわした。西郷四郎という人の銅像である。
 映画「姿三四郎」には、後に黒澤の映画にたびたび出演する志村喬が敵役で出ていたね。

 とにかく、映画の〈面白さ〉にめざめたのは「姿三四郎」だった。
 第一作にすべてがある、という言葉は、黒澤明の場合は、みごとにあてはまるのではあるまいか。  19頁