野尻抱影の『星の神話・伝説』のこと

 連日の熱帯夜である。午前四時ごろ夜空を見上げる。
 北の夜空に向かい、天頂付近にWの文字を逆にした形のカシオペヤ座が見られた。
 付近は天の川で、星団が多い。星が密集しているのだった。地上では、まだ虫の鳴き声は聞こえて来ない。
 星を眺めていると暑さを忘れる。夜風が吹いていた。
 野尻抱影の『星の神話・伝説』からカシオペヤ座のところを、久しぶりにめくってみる。講談社学術文庫版の奥付は、一九七七年七月に第一刷が発行されているのだった。
 筆者はこの年の十月に亡くなられているので、「まえがき」の文章は最晩年の筆になるんだね。この本は、天の川や宇宙の神秘までも考えさせてくれる本でもある。
 
 田村義也『ゆの字ものがたり』(新宿書房)を読み始める。
星の神話・伝説 (講談社学術文庫 163)