エリザベス・ショー作・絵の『こひつじクロ』ゆりよう子訳(岩崎書店)を読む。
羊飼いのおじいさんと犬のポロのお話です。
ポロはしっかりもの
ひつじの番をポロにまかせると、
おじいさんは、岩にこしかけてあみものを始めます。
くつした、マフラー、セーターにもうふ、
どれも、まっしろくてふーわふわ。
ひつじの毛をあんでは、村の市場に売りに行くのです。
あっ、忘れていました。白いひつじたちのなかに、一匹だけ、黒くて小さなひつじがいるんです。クロです。
クロは、ポロがほえればみんないうとおりに動くのに、一匹だけ反対をむいたまんまです。
ポロはかんかん。と言った場面からお話がはじまるのです。
クロが、「ぼくもみんなみたいにまっしろなら、どんなにらくだろう・・・・・・・」と悩むのですが、おじいさんは、「いーや、おまえはそのままが一番。みんながさくをこえるのを、わしはいつも数えるだろ。つぎからつぎへとしろばかり。あれは、たいくつなもんさ。でも、おまえのおかげで目がさめる。」
おじいさんのあむ、しろい毛糸と、くろい毛糸であんだくつした、マフラー、セーターにもうふ、村の市場のおじいさんのお店でだいはんじょう。そのお金でくろいひつじを買い足して、二、三年たつと、しろいひつじ、くろいひつじ、いろんなぶちでいっぱい。
「ほら、みてごらん。まえより、ずっとゆかいなむれになったでしょ。一ぴきのこらず、みーんなちがうんですもの。」
この本の原題はTHE LITTLE BLACK SHEEP。
訳者のゆりよう子さんによると作者エリザベス・ショー(Elizabeth Shaw 1920〜1992)さんは、ヨーロッパの西のはて、アイルランドに生まれて、戦後は旧東ドイツのベルリンに住んでいて、若い頃はもっぱら雑誌のさし絵や旅の手記をてがけていたが、後にこどもの本のさし絵を始め、やがてお話も書くようになったそうです。旧東ドイツのキンダーブック社から二十さつ近くお話絵本が出版されています。
多くは、いのしし、うさぎ、かめ、かたつむりなどの動物が主人公ものだそうです。