夏目漱石の直筆の葉書のこと

 夏目漱石『直筆で読む「坊ちゃん」』(集英社新書)が、生誕一四〇周年の今年、新書版で10月の新刊が気になる。
 利用している図書館で、所蔵している漱石の葉書を見たことがある。
 鈴木三重吉の友人、加計正文氏へ漱石が出した葉書で、展示されているのを、そばでじっくり読んだ。
 漱石の文字は、万年筆で書かれた丸みのある文字だった。文面は、加計氏から届いた柿の贈り物への漱石の礼状でしたね。
 この加計正文さんのことは、父から聞いたことがあって、若い頃、加計さんの近所に住んでいたので、家にあがっていろいろ見せてもらったり、物をもらったりしたことがあったそうだ。たしか、燃料の炭(?)を、頂いたと聞いたかな。
 当時、家の中に小型の蒸気機関車が走っていた。とか、GHQアメリカ軍人相手に、日本人の通訳が駄目なので、自分で英語でまくし立てていたというエピソードなど。英語が堪能だった人のようですね。
 参照:鈴木三重吉宛書簡―明治三十九年にある加計正文氏のことhttp://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/2575_7069.html
 今日の朝日新聞に、「文豪の裏面史をたどる」と題して、鈴木三重吉の長女で、戦後の日本ファッション界に新しい流れをつくった鈴木すずさん(91)の半生記『赤い鳥翔んだ』(小峰書店)が記事になっていた。
 《内田百間が三重吉のところに、叱られながらもよく借金にやってきた。詩人・北原白秋は酔って訪れ、三重吉が気に入っていた銀屏風に落書きをして周囲を驚かせた。》
 《日本の児童文化運動に大きな影響を与えた赤い鳥だが、不況や関東大地震で資金繰りは苦しかった。やがて編集方針をめぐり、白秋とも絶縁してしまう。36年に三重吉が肺がんで亡くなり、雑誌は通巻196冊で終刊となった。》
 著者は、三重吉・すず研究者の脇坂るみさん。これも読みたいなぁ。

直筆で読む「坊っちやん」 (集英社新書 ヴィジュアル版 6V)