「いとしのオールディーズ」の正津勉の話の続き

高菜

 昨夜のNHKラジオの番組「いとしのオールディーズ」で、正津勉がゲストに出演していて、最初の曲がエルビス・プレスリーの「ハート・ブレイク・ホテル」で始まった。続いて、ポール・アンカの「ダイアナ」、ニール・セダカの「恋の片道切符」。
 歌を聴きながら、その合間に正津さんが詩の世界へ足を踏み込んで行くまでを、司会の青木裕子アナウンサーに語る。曲はボブ・ディランの「風に吹かれて」に移って、それからジャズにのめり込むようになる。
 詩と時代というのは密接な関係があるんですか? と、青木さんが質問。 
 正津「よく詩が読まれていたですよ。寺山修司さんや吉本隆明さんの詩が・・・。京都にはシアンクレールという有名なジャズ喫茶店があったんですね。」
 エラ・フィッツジェラルドの「マック・ザ・ナイフ」を聴いてもらいましょう。
 「ジャズ喫茶は料金が高いんですよ。ごはん食べないで6時間くらいいるんですよ。アレン・ギンズバーグのまねごとのような詩を書いていたんです。」
 つぎは、ビリー・ホリデイの『奇妙な果実』。黒人の人種差別を歌った曲。詩人になるとは、どういうことですか。
 無職になるということと、ほぼ同じことですね。
 1970年1月、紙袋ひとつ持って東京に新宿へ降りたことを思い出しますね。『脱力の人』にも書きましたが・・・。
 たかっていた先輩のひとから「今のビートルズいいよ。聴いてみろよ、と言われて、聴いて助かったんです。ものすごく気持ちが楽になりました。なかでも、『イエスタデイ』。『レット・イット・ビー』も聴いていましたね。これも好きですね。」
 上京後、フリーターになっている時に、学生時代に書き溜めたノートを見てくれた編集者がいて、ノートに書いたのがそのまま本になるという詩人として幸運な出発をしたんですね。
 というように、詩集『惨事』の出版の経緯を語られていた。もう一冊、ビートルズ・フリークだった時に書いた『ビートルズ 世界をゆるがした少年(ガキ)たち』(ブロンズ新社)についても。
 土井章史・編『長新太 ナンセンスの地平線からやってきた』(河出書房新社)を見て、「チョーさんの奥さまにインタビュー!」を読む。「聞いてみたかった、チョーさんの日常」というタイトルがついている。生まれ変わったら何になりたいですか。という質問に、ぼくはイカやタコが好きだから、イカかタコになりたい。と、長さんは答えられていたというエピソード。うーむ。
 佐々木幹郎の『やわらかく、壊れる』(みすず書房)を読み始める。
長新太―ナンセンスの地平線からやってきた (らんぷの本)やわらかく、壊れる―都市の滅び方について