炉に焼てけぶりを握る紅葉哉

トウカエデ

 明け方の小雨で濡れた地面に街路樹のイチョウが、ひらひらと散っている。敷きつめられた落葉で地面が黄色だ。通りのあちこちで、落葉樹のケヤキソメイヨシノやトウカエデの紅葉が目に鮮やかであるが、これらもひらひらと舞い落ちている。
 蕪村の句に、「炉(ろ)に焼(たき)てけぶりを握る紅葉哉」。安永三年十月の句である。
 講談社のPR誌『本』12月号で瀬川拓郎の「アイヌ史はおもしろい」を読んだ。
 『アイヌの歴史―海と宝のノマド」(講談社選書メチエ)を今回刊行された瀬川拓郎氏の文で、中世から近世のアイヌ社会は「戦争複合体」と評する説もあるそうだ。《アイヌの歴史を戦争と切り離して考えることはできない。そしてその戦争は、侵略に抗する止むに止まれぬ戦いばかりではなかった。アイヌに関心を寄せ、和人の侵略の歴史に強く心を痛める人ほど、「自然との共生」や「平和」といった、事実を離れて肥大化したアイヌの「肯定的」なイメージにとらわれる傾向があるのかもしれない。》(28〜29ページ)
 公園を通り抜けるときに、樹木の土壌改良のための木屑の匂いが漂っていた。甘酸っぱい木屑の匂い。ブックオフで、三冊購入。
 『猫のいる部屋CATS』アンジェラ・カーター・文/マルティン・リーマン・絵/あらいあきら訳/1979年(CBS/SONY artback)
 『こどものとも』「わたしがおひさまだったら」片山健・絵/2004年11月号(福音館書店
 『断然欠席』阿川弘之・著/1992年(講談社文庫)
アイヌの歴史 海と宝のノマド (講談社選書メチエ)