柳から日のくれかゝる野路かな

白木蓮

 街路樹にハクモクレン(白木蓮)のつぼみが多数膨らんでいる。開花にはもう少し日にちを要するようだ。
 そばにシダレヤナギの木があり、細い枝に鳥の爪のような形の小さな芽が見られた。
 蕪村の句に、「柳から日のくれかゝる野路(のみち)かな」。安永六年一月の句である。
 まだ冬枯れの日のくれかかる野路のような公園を通り抜け、ブックオフへ寄る。
 高木仁三郎・文、片山健・絵『ぼくからみると』1983年(かがくのとも173号、福音館書店
 池澤夏樹『明るい旅情』2001年(新潮文庫
 安岡章太郎『僕の昭和史?』1991年(講談社文庫)
 山田風太郎『明治波濤歌 上』1984年(新潮文庫
 を、買う。
 『ぼくからみると』は、「なつやすみのあるひ ひるすぎの ひょうたんいけ。」にいる自転車のしょうちゃん、つりをしているよしくん、いけのなかのさかな、かいつぶりのおかあさん、そらからまいおりるとんび、すからかけもどるかやねずみのおとうさん、はなにむらがるみつばち、あまがえる、きのうえのもず、だれかさんからみると・・・。
 やっぱり ひるすぎの ひょうたんいけ・・・・・・夏の午後のほんの一瞬が描かれている。だれかさんから見るとこうなるだろうといった視点で風景が描かれている。
 緑したたる夏の午後の池に生きている動物や植物の一瞬を展開している絵本。
 外はまだ冬枯れだが、芽吹きの季節と二十四節気のひとつ啓蟄はもうすぐだ。
 『明るい旅情』の解説は四方田犬彦
ぼくからみると―どきどきしぜん (かがくのとも傑作集 どきどきしぜん)