「ここに幸あり青い空」

 中野翠の『ここに幸あり』2004年(毎日新聞社)で、清水宏監督や「晩年の名優・笠智衆」を拾い読みする。
 ページを繰っていると、《余計なお世話だが、イオセリアーニという名前をぜひ頭の中に刻み込んでもらいたい。いい映画監督なのだ。私は好き。》とあったので、はっとした。
 先月、オタール・イオセリアーニの『ここに幸あり』(2006年) という映画を観たのだったが、中野翠の『ここに幸あり』という本のタイトルと同じだと気づいた。
 オタール・イオセリアーニの『ここに幸あり』は、原題は「秋の庭」といった意味ですが・・・。
 中野翠の『ここに幸あり』のあとがきに、

 タイトルには迷った。レイ・ブラッドベリの有名な小説集『メランコリイの妙薬』というタイトルしか思い浮かばなかったのだ。そのまんまでは文学臭が強すぎるような気がしたので、同じ気持ちをこめて『ここに幸あり』としました。お若いかたはご存知ないでしょうが、昭和30年代、私の子ども時代にはやっていた歌謡曲のタイトルです。歌手は大津美子ね。最後の一節、「ここに幸あり青い空」というのがいいのよ、「青い空」というのが。心の中に青空を――。  285ページ

ここに幸あり