トンボと無用の用

トンボ

 昨日、夕方に公園の池に寄る。ハスの葉に透明の翅(はね)に黒い色のトンボがいた。池で初めて見る。
 そっと、手を伸ばして近づけても逃げない。弱っているのだろうか。しばらく観察する。
 NHK教育テレビの「新日曜美術館」で、「うつろうかたちを追いかけて 洋画家・野見山暁治の挑戦」を観た。地下鉄副都心線明治神宮前駅の壁面に飾るステンドグラスを制作する日々を追っている。
 司会の檀ふみと黒沢保裕のお二人からの質問に答えている。いろいろ興味深い話があった。
 そのひとつ、野見山さんが自分の絵を買う奇特な人がいるのを不思議がっていることである。うーん。これは案外、絵というものの盲点のようなもの?
『パリ・キュリィ病院 』という本での体験から長く歩んで来られて、こうして今があることに感慨深いものがあるのだろうなぁ。
 夜、NHKラジオで「日本はそんなにダメな国か?」と題した内田樹の文化講演会を聴く。
 挑戦的なタイトルだが、と言って、その訳を語っている。
 お話はいろいろな話題にあっちこっちに飛びながら。アメリカ西漸説というのを語っている。トクヴィルの『アメリカの民主政治』を引用しながら。
 システムの改変の時期だった明治の選択の狭さが今もつづいている。
 師は外部にある。それに向かって超えていかねばいけないというメンタリティ。(辺境論?)
 「ぼくの提案は実際、日本は辺境でいいじゃないか」とも。
 日本は歴史的に中心になったときにダメになる。だから、辺境でいいじゃないかと。温泉地での出来事などを例に挙げながら。

 今日大型書店に寄った。堀江敏幸『回送電車』(中央文庫)で杉本秀太郎の解説を読む。「無用の用」。もう一冊がトクヴィルアメリカのデモクラシー』*1岩波文庫)第2巻(下)の解説を。これも出たばかり。

 深夜、外へ出る。目を引くのは南東の空の木星である。明るい黄金色だ。天頂付近に天の川が淡く広がっているのだった。