ジャ・ジャンクー監督の『プラットホーム』

ハスの水滴

 雨上がりのハスの葉に水滴が残っていた。触ると今にもこぼれ落ちそうだ。
 今月(8月)は、「アジアの俊英 アピチャッポンとジャ・ジャンクー」の二人の監督を特集している。
 27日、ジャ・ジャンクー監督の『プラットホーム』(2000年、日本・フランス・中国、151分、カラー)を映像文化ライブラリーで観た。観客は20人ほど。
 最初、舞台で演劇の公演が行われている場面が映し出される。演じているのは移動劇団らしい。次の場面では、劇団員らが移動のためのバスに乗り込むシーンになる。
 このバスに乗り込むシーンで、この劇団がどういったものかがだんだん観ていておぼろげに見えてくる。
 このあと、画面が切り替わってタイトルになる。
 映画は、自由化の始まった中国で、地方都市にある劇団で幼友達である四人の男女が、農業用の耕運機の後ろにつけた荷台に乗って移動したり、トラックの荷台に乗ったりして地方の村を公演して回る。
 城壁に囲まれた地方都市に住んでいて、その城壁の上が道のようになっている。そこから眺める生まれ育った町、発展から取り残されたような町から、沿岸地方の発展している土地へ親戚を頼って行きたいと考えている者、町に残る者。
 その希望と不安を抱いて生きる若者たちの歩みを深く描いている。
 ジャ・ジャンクー監督の『一瞬の夢』で、農村から出てきてスリで日銭を稼いでいる青年のウーを演じていた俳優が、この『プラットホーム』でも主演していた。
 この俳優の首を傾(かし)げるしぐさが、いい味をだしている。この俳優を見るだけでも得をした気分になった。幼友達の若い女の劇団員が赤いドレスを身にまといフラメンコを踊るシーンが素晴らしい。