9月は人形アニメで有名なチェコのアニメーションを、映像文化ライブラリーで上映している。「チェコ・アニメーション傑作選」のプログラム5を観に出かける。
短編アニメーションが7本上映された。観客は10人弱である。
『粘土』(1972年、4分、カラー)原案・脚本・美術・監督:ヤロスラフ・ザフラドニーク。
Pat&Matシリーズ 3作/計29分/カラー 監督:ルボミール・ベネシュ。
『車庫』(1979年、9分)
『グリル』(1981年、9分)
『巣箱』(1983年、10分)
ぼくらと遊ぼうシリーズ 2作/計32分/カラー 監督:ブジェチスラフ・ポヤル。
『冬眠の話』(1967年、13分)
『ヒョウの話』(1971年、19分)
『飲みすぎた一杯』(1953年、19分、カラー) 監督:ブジェチスラフ・ポヤル。
最初の『粘土』は、彫塑の粘土の残りの塊がもぞもぞと動き出して、人形になる。実写の人と粘土の人形が繰り広げるドタバタのアニメなのだが、最後に真っ二つに粘土の人形が割れて、彫塑のからだに二つの半球が貼り付けられる。愉快なアニメである。
Pat&Matシリーズは、PatとMatの男二人が演じるスラプスティック・コメディである。
『車庫』という作品は、クルマを車庫に入れようとするが、どうしても入れることが出来ない。最後の最後までどうしても上手くいかない。その顛末が滑稽なやり取りで可笑しい。
『グリル』という作品は、二人が丸々一羽の鶏肉をグリルに入れて焼こうとするのだが、つるっと滑って上手く行かない。あらゆる方法であらゆる道具を使って焼こうと試みるが、どうしても上手く行かない。やはりその顛末が可笑しい。笑った。
『巣箱』という作品は、一本の大きな木に鳥がやって来るのを願って二人で木の板を切って巣箱を作る。そのつくる顛末がドタバタコメディだった。
『冬眠の話』と『ヒョウの話』は、小さい熊と大きい熊が出会ったペンギンやヒョウとのお話であろうか。観ていて少し眠くなる。
お仕舞いの『飲みすぎた一杯』は、バイクに乗った青年がツーリングの途中にふと寄ったレストランで結婚式をしているところに出くわして、勧められるままに酒を飲んでしまう。
飲んだら乗るな! というプレートがレストランに掲げられている。
その店を出た青年はバイクを走らせる。ぐんぐんスピードを上げて走らせる。
初めは自動車を追い抜く。次は汽車(蒸気機関車)を追い抜く。
その次は空を飛んでいる飛行機を・・・。
バイクのスピード感の息を呑む速さに圧倒される。素晴らしい映像美である。この『飲みすぎた一杯』の美術にイジー・トルンカが参加しているようだ。