パヴェル・コウツキーの『視角の外』

チェコ・アニメーション

 「チェコ・アニメーション傑作選」のプログラム6を映像文化ライブラリーで観る。
 短編アニメーションが7本上映された。観客は10人弱ほどである。

 
 『視角の外』(1987年、3分、カラー)原案・脚本・美術・監督:パヴェル・コウツキー。
 Pat&Matシリーズ 3作/計27分、カラー)監督:ルボミール・ベネシュ。
 『本棚』(1979年、9分)
 『揺り椅子』(1979年、9分)
 『ライト』(1979年、9分)
 ぼくらと遊ぼうシリーズ 2作/計32分/カラー 監督:ブジェチスラフ・ポヤル。
 『ビーバーの話』(1972年、16分)
 『カブの話』(1973年、16分)
 『ナイトエンジェル』(1986年、19分、カラー)原案・脚本・美術・監督:ブジェチスラフ・ポヤル。

 
 パヴェル・コウツキーの『視角の外』は、木彫りの人形が動き歩くと、大きく口を開けて喋る木彫りの人形に出くわす。引き返してまた歩いてゆくと、また違ったしゃべりまくる木彫りの人形に出くわしてしまう。そのうち、その情景をひとコマひとコマと動かしてカメラに撮影している実写の人物が作品に登場する。
 その男は作品のなかで、登場している人形を少しずつ変形させながらひとコマひとコマと撮影している。アニメーションの作品のなかに作者(たぶん、パヴェル・コウツキー)が登場して来るのだ。
 そのあと、作品のなかで木彫りの人形を指で変形させている作者を、もうひとつ大きな手が現れて、実写の作者を指でつまんでいる映像になる。『視角の外』は、不思議な錯視の世界を見せてくれる。
 短編だが、こういう味わいの作品は印象的だ。
 
 
 Pat&Matシリーズは、PatとMatという二人の男が登場人物で、毎回モノを作ったり直したりしようとするのだが、二人がいろいろ試してみるものの思うようになってくれない。その顛末がドタバタのスラプスティック・コメディになっている。
 『本棚』は部屋に本があふれ返っているので、本を納めるための本棚を作りはじめるのだが・・・。
 『揺り椅子』はテレビを見るために椅子を改造して、揺り椅子を作りはじめる。
 『ライト』は、チェス遊びを二人でやろうとしてみると、天井の電球が切れる。暗くなった。さあ、どうするか? 電球ひとつを入れ替えるのにうまく行かない。ドタバタ大騒ぎになって行く。

 
 ブジェチスラフ・ポヤルの『ビーバーの話』と『カブの話』は、小さい熊と大きい熊がビーバーやヤギに出会うお話であるが、少し眠くなる。

 最後のブジェチスラフ・ポヤルの『ナイトエンジェル』は、クルマにはねられた事故で目が見えなくなった青年が暗闇のなかで経験する世界を、いろいろな素材を使い幻想的に描いている。
 物語の終わりに目が回復して知る青年の恋人との再会など印象的だ。
 この『ナイトエンジェル』は、ブジェチスラフ・ポヤルの1962年の作品『ロマンス』に似た味わいがある。