10月24日から31日まで、日仏交流150周年記念で、映画祭「フランス映画の秘宝」を映像文化ライブラリーで開催している。日本未公開の作品を中心に5本上映される。
『最後の切り札』ジャック・ベッケル監督(1942年、フランス、105分、白黒)
『罪の天使たち』ロベール・ブレッソン監督(1943年、フランス、96分、白黒)
『あなたの目になりたい』サッシャ・ギトリ監督(1943年、フランス、90分、白黒)
『天使の入江』ジャック・ドゥミ監督(1962年、フランス、82分、白黒)
『三重スパイ』エリック・ロメール監督(2003年、フランス、115分、カラー)
24日、ロベール・ブレッソン監督の『罪の天使たち』を観る。
親が会社を経営しているブルジョアの娘が、自ら進んで修道女になるためドミニコ会の修道院に入るところから始まる。名前はアンヌ=マリー。親は入るのを反対しているが、決意が固いので本人の希望をかなえてやる。
冒頭の字幕でドミニコ会の由来が説明される。
修道院では、修道女らが定期的に刑務所を訪れている。
社会で犯罪を犯して服役している人の罪に苦しむ魂の救済や、悩みの相談に応じて立ち直りの手助けをしている。
アンヌ=マリーは修道女になったばかりだが、手助けをしたいと刑務所への訪問を望み、ベテランの修道女らと訪れる。
初めて刑務所を訪れたアンヌ=マリーは、テレーズという刑務所のなかで反抗的な態度をとる若い女の受刑者に関心を抱くのだった。
そして、あと二週間で出所するというテレーズへ、出所後は修道院へ是非来るようにと勧める。
出所する日もアンヌ=マリーらは刑務所を訪れて、テレーズへ修道院へ是非来るようにと勧める。
だが、テレーズはそれを拒んで出所するのだった。
それは、テレーズには、服役する前に男にだまされて投獄されたという強い怒りの感情があって、その男を殺してしまいたいという煮えたぎるような復讐心があったからなのだ。
テレーズは出所後、直ちに銃砲店でピストルを買う。そうして、男のいるアパートを訪れると引き金を引くのだった。
その直後に、テレーズはアンヌ=マリーらのいる修道院を訪れて来た。
テレーズへ修道院へ是非来るようにと勧めていたアンヌ=マリーは、思いもかけないテレーズの修道院へ入りたいという申し出に大喜びで対応する。
テレーズにとっては、身を隠すための逃亡先として、修道院を選んだつもりだった。
アンヌ=マリーの善意を踏みにじるような偽りの行為と自らの犯した罪とに苦しみつい周囲に反抗的な態度に出てしまうテレーズ。
それでも献身的にテレーズの魂を救おうと献身するアンヌ=マリー。
捜査をしている警察は、テレーズを探して修道院へやって来る。
逃げようとするテレーズ。
アンヌ=マリーは、その渦中にテレーズのために身を投げ出して駆けずり回った心労で倒れてしまう。
ベッドでアンヌ=マリーが、命があと幾ばくもない状態でもテレーズの魂を救おうと献身の言葉を・・・・。
罪と魂の救済というテーマが描かれている傑作映画である。奇跡的な作品。