ナポリ行きの消息

『芸術新潮』10月号

 七日は二十四節気のひとつ立冬で、時雨(しぐれ)模様であった。
 晩秋から初冬にかけて降ったり止んだりする小雨。
 蕪村の句に、「楠(くす)の根を静(しずか)にぬらす時雨哉」。
 明和五年九月二七日の句である。
 幸い今日は曇り空で、前から計画していた野外でトタンに水性塗料が塗れた。

 今夜のラジオ深夜便宇田川清江アナウンサーの担当日。「ないとガイド」の「読書で豊かに」のゲストに阿部日奈子さん出演が、野球中継が延びたため番組の予定が変更されて放送はなかった。
 今日の朝日新聞の広告に、池田晶子著『人生は愉快だ』(毎日新聞社)を見つける。《著者が温め続けた未発表原稿ついに刊行!》とある。

 それはさて置き、『芸術新潮』10月号の「特集 没後10年 須賀敦子が愛したもの」を読み継ぐ。
 須賀敦子略年譜を見ていくと、1984年の項に「3月、ナポリ東洋大学に日本文学科講師として招かれ、7月末まで教える。」とある。
 この特集では、須賀さんのナポリでのことについて、言及はないようだ。須賀さんのナポリ行きはどのような消息で招かれたのかな。
 1984年といえば、この一年ほど前に小学館の『伊和中辞典』が刊行された頃である。
 坂本鉄男編『和伊辞典』(白水社)は、その後の1988年に刊行された。