里過て古江に鴛を見付たり

落葉

 小春日和である。渡り鳥の群れが岸辺に近く集まって川面(かわも)に浮いていた。20数羽の群れで、鳥はヒドリガモのようだ。この冬、初めて見た。
 蕪村の句に、「里過(すぎ)て古江に鴛(をし)を見付(みつけ)たり」。
 日が暮れる18時ごろ、南南西の空に木星と金星が上と下に並ぶように光っていた。木星の高度は30度くらい、金星は20度くらいであった。低空で輝いている金星は宵の明星といえる明るさである。
 朝日新聞の「文芸時評」を読んだ。「2008年の批評」と題して、斎藤美奈子水村美苗の話題作を採り上げている。この本をめぐり仲俣暁生がブログで激烈な批判を展開とある。
 他には、憤死しそうなサブカルチャー批評も出現しているとして宇野常寛の本を論じている。
 今月の3点の残りの1点は、「群像」12月号の加藤典洋「関係の原的負荷――二〇〇八、『親殺し』の文学」で、こうした挑発的な批評を前にすると、正統的であるがゆえに古式ゆかしい牧歌的な批評に見えてしまう、とあった。

 それはさて置き、『風神帖』(みすず書房)を読みはじめた。池澤夏樹の本の解説とエッセイの集成である。
 「異国に生まれなおした人」と題した須賀敦子論。林達夫堀江敏幸の本への解説など見付けたり。
 夜NHKテレビで「SONGS」を聴く。あみん。
風神帖―エッセー集成1 (エッセー集成 1)