大寒と映画『きつねと私の12か月』

 今日は二十四節気のひとつ大寒である。
 蕪村の句に、「薬喰(くすりぐひ)隣の亭主箸(はし)持参」。明和年間の句である。近所の亭主が集まって滋養のための宴を開いているのだろうか。*1

 冬、滋養や保温のために鹿・イノシシなどの肉を食べたこと。獣肉は忌んで一般には食べなかったが、病人などは薬になるという口実を設けて食べた。  『大辞泉

 引用句も蕪村で、「客僧の狸寝入りやくすり喰」。
 リュック・ジャケ監督の映画『きつねと私の12か月』(2007年、96分、カラー)をシネツインで観る。最終上映時間で、10分前に座席についた。館内には誰もいなくて驚く。
 開始までには観客は4人になって、上映開始になる。うーむ。映画は映画館で!
 フランスアルプス地方の秋に少女がきつねに出会う。ナレーションで回顧される。それは、十歳の時に学校の帰り道で一匹のきつねと出会い、驚きと興味を持った。
 少女はまた会いたいと願い待ちつづける。林の中の草地に立つ大きな木に上って下の草地に餌のパンを撒いて。
 そうして、うまくきつねと接触することになり、ますますきつねに夢中になる。
 冬、雪が降って、春は雪がとけて花が咲き、昆虫が飛び交い、夏は入道雲と嵐、きつねとの交流が美しいアルプス地方の風景や野生の動物との映像とともに描かれる。滝、洞窟、夜明け前の山並みと日の出へと変化する自然の営み・・・。
 

*1:脚注に薬喰―寒中の滋養のため獣肉を食うこと。