『改訳 形の生命』とツバメとツツジ

ツツジ

 ツバメをこの春初めて見た。小高い公園の桜の木々の上を飛び回っている。花見とツバメ見。
 ツツジも見つけた。コバノミツバツツジ? 葉はまだ出ていない。紫色にはっとする。鮮やかだ。
 今朝の朝日新聞に連載中の杉本秀太郎「私の収穫」の第2回は「改訳」というタイトル。
 二月に平凡社ライブラリーの一冊H・フォシヨン『改訳 形の生命』が刊行された経緯をめぐる文で、一九六九年一月に岩波書店から出した同題の翻訳書を一からすっかり訳し改めたそうだ。
 《旧訳は出版直後から東大美学科教室の人たちによる誤訳の指摘が一ツ橋の版元にぞくぞくと到着したそうである。フォシヨンの直弟子吉川逸治教授のゼミはこの本をテクストとしておこなわれていたというのだから、無理もない。わたしのほうは京都でひとり勝手に『形の生命』を読み、まなんだことを「植物的なもの――文学と文様」という論文に応用し、それだけでは気が収まらぬまま翻訳した。いかにも誤訳、不備不足に事欠かない始末であった。二十世紀のおわるところで、改訳の志を立て、少しずつ新稿をととのえてようやく昨秋仕上げた。》
 
 余談ですが、四〇年前ごろに京都の同志社大学で美学を学んでいた人から、杉本さんのフランス語の講義を聴いていたよ、という話を聞いたことがあります。
 「いかにも誤訳、不備不足に事欠かない始末であった。」手にとって見たいですね。

改訳 形の生命 (平凡社ライブラリー)

改訳 形の生命 (平凡社ライブラリー)