笑福亭仁鶴を聴く

アオサギ

 川を渡っていると、夕方のオレンジ色の太陽に照らされて輝くアオサギがいた。
 午前の部分日食の時は曇り空で、それでも日食の間は少しばかり空か暗くなった気がした。
 夜、CD『上方落語特選 笑福亭仁鶴 第四集 不動坊・延陽伯』から、「不動坊」と「延陽伯」を聴いた。*1
 「不動坊」という噺は、長屋に住んでいるやもめの利吉という男に縁談話を大家が持ち込んでくる。善は急げとばかりに・・・。
 利吉と長屋の芸人に幽霊をかけた長屋ものの落語ですね。
 「延陽伯」は、これも長屋に住む喜六のもとに持ち込まれてくる縁談ものの落語。お嫁にくる女性との身分違いの言葉のやり取りが笑いを誘う。
 20日の朝日新聞に、吉田秀和の「音楽展望」が「観桜の記」と題して掲載されていた。
 「春になると、小林秀雄さんのことを思い出す。」と冒頭の文からはじまる。
 印象に残った部分をメモする。

 私が今まで見た桜で一番強く印象に残っているのは安芸の国・宮島の厳島神社の裏で出合った桜。ある春の午後遅く、神社の裏山の道をたどると桜の木にぶつかった。思わず見上げると、限りなく深い青空を背に、一面花をつけた桜が何本か大手を広げて襲いかかるようにしてきた。怖かった。桜が生き物だということをあんなにハッキリ感じたことはない。豊麗で妖艶(ようえん)な趣。美しいものは恐ろしい。

 

*1:「不動坊」1972年9月収録。「延陽伯」1976年3月13日収録。