正午前後は残暑で蒸し暑かったが、夕方から日暮れにかけて涼しくなった。
午後7時過ぎに南の空に月が眺められた。上弦の月だ。
昨日、公園の池に寄った時に会った二人連れの旅行者のうち一人がカタラン語の名前だった。
語らん語ではなくカタラン語だ。残りの一人はセバスチャンという名前だったが・・・。
ちょっと気になって、先日から読み始めた今福龍太著『身体としての書物』を手にとってみる。
第3章「焚書の想像力」が、ボルヘスの『バベルの図書館』をめぐる今福龍太さんの講義録で、そのなかで確認したかった箇所をノートして置こう。
スペイン語やイタリア語やポルトガル語は――実際のところ事情はかなり複雑なのですが、一般にラテン語の口語から派生した言語であると言われています。しかし、南米アルゼンチンのボルヘスの場合、スペイン語といえば、それはカスティーリャ語(カスティーリャ地方の方言)を意味します。スペインには、アンダルシア、ヴァレンシア、アラゴン、カタルーニャ、レオン、ガリシアと地域ごとにそれぞれ方言があります。隣国のポルトガル語も、イベリア半島の一方言だと考えればいい。フランスとの国境、ピレネー山脈にかかる西側の地域だけが、これとは異質な文化的・言語的な背景をもつケルト系バスクの世界です。もとはヨーロッパ内陸部から外海へと展開した海洋民族ですね。カスティーリャの中心都市、マドリッドには王の宮廷があって、スペイン王国の中南米進出にともなってカスティーリャ語も大西洋を越えて新大陸に拡散していきました。ボルヘスが内部に抱えこむ言語の複数性・重層性は、たとえば「バベルの図書館」のこんな文章に象徴的に表現されています。 75〜76ページ