小野二郎さんの文

グリーンボール・キャベツ

 秋雨前線の停滞で降ったり止んだりで、湿度が高かった。
 今年の冬野菜は、腐葉土と菜々実さんという肥料で土作りをする。
 先週植えたグリーンボール・キャベツ、シュンギク、白菜が根付いたようだ。

 9月に、嵐山光三郎著『「下り坂」繁盛記』(新講社)が出ているようだ。
 昨年(2008年)の四月に、NHKラジオ第二の文化講演会の放送で、「下り坂」繁盛記と題した嵐山光三郎の講演を聴いたことがあった。

 10月の新刊で、新潮社から津野海太郎著『したくないことはしない―植草甚一の青春―』に注目する。
 『したくないことはしない―植草甚一の青春―』は晶文社からではなく、新潮社というのは何故?
 「本はねころんで」で晶文社図書目録をめぐって回顧的な話が興味深い。
 編集者であった小野二郎さんといえば、なんといっても『紅茶を受皿で』(晶文社)の著者ということでしょうか。
 副題に「イギリス民衆芸術覚書」とあります。
 わたしが好きな小野二郎さんの文は、この本でいえば「紅茶を受皿で」に書かれたアイルランド西海岸の淋しいスライゴーという港町の食堂で目撃した話です。
 小柄なおばあさんが紅茶をカップから受皿に移して、お茶をすすった行為に驚いた顛末を記した文です。
 それは、《ジョージ・オーウェル第二次世界大戦中、BBCに勤めていたころ、仲間のインテリに対するいやがらせとしてこれと同じことをしたという話を即座に思い出したからである。
 《ああオーウェルのあの行為の背景にはこういう「伝統」があったのだ(などと他人様のテーブルをのぞいて一人サワイでいるのはコッケイだが事実だったからしかたない)。オーウェルはそれを率直に表現できなかった。できるわけがなかった。それが人に不作法に映ずること、不愉快に思われることはわかりきっているからだ。だからいやがらせになる。あてこすりになる。
 こうしたエピソードから紅茶の受皿の由来を、小野二郎さんはロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバートミュージアムに通ってセラミックス部で受皿を実地調査するのですが・・・。
 探ってゆく後半の文も面白いものです。
 ちょっとバカバカしいかもしれませんが・・・。
 参照:『したくないことはしない―植草甚一の青春―』http://www.shinchosha.co.jp/book/318531/