映画『夏時間の庭』

「エンドマーク」10月号

 4日、オリヴィエ・アサイヤス監督の映画『夏時間の庭』(2008年、フランス、102分、カラー、ヴィスタ、クレスト)をサロンシネマ1で観た。観客は15人ほど。
 毛布に包(くる)まって気持ちよく見る。
 長男はパリ、次男は北京、末の長女はニューヨークに暮らしている。七十代半ばの母親は、一人パリ郊外の家に亡くなった画家だった夫の残した絵と、名画や家具の骨董品などを守りながら暮らしている。
 一年に一度の母親の誕生日には世界に散らばっている三人の子どもたちが、子どもを連れてパリにお祝いのプレゼントを持って帰って来る。
 冒頭、その一家が集まって夏の木々の緑に包まれた庭で、誕生日のお祝いの食事をする場面から始まる。
 母親は夫の残した高価な名画や骨董品の相続の心配をしている。
 遺産の相続をめぐって、最善の方法はどうかと子どもたちに話す。
 子どもたちは自分の生活で忙しく、まだまだそんなことは先の話だよといって取り合わない。
 映画は、それからしばらくして70代半ばだった一家の母親が亡くなる。
 葬儀の後、子どもたちに残された母の住んでいた家、母の夫が残した絵、名画や高価な家具などの骨董品の処分をめぐって、最善の方法はどうかということを、三人の子が話し合う。
 ニューヨークに住んでいる長女、北京に住んでいる次男はパリから遠く離れているので遺産の相続は思い出の詰まっている家ではあるけれど、管理が出来ないからと言って、売ってしまうことを主張する。
 それで、パリに住む長男が中心になって、骨董品の業者に骨董品の鑑定をしてもらい、名画を美術館へ寄贈する手続きをしたりと動き出すのだった。
 美術館のなかの映像が目を引く。
 終わりに、長男の高校生の娘が補導されたことで男親が学校に呼び出され、いろいろ娘のしつけのことで担任教師から諭されるエピソードがある。
 その娘が、もうすぐ売り払ってしまうおばあちゃんの家の庭に、学校の同級生を大勢呼んで、派手なパーティーをするシーンで、自分にとってのおばあちゃんの思い出を、しんみりと同級生の男の子につぶやくのだった。家族の絆を噛(か)みしめるように・・・。

 窓口で「エンドマーク」10月号をもらう。本文で、支配人の住岡正明さんが驚いているのだった。
 うーむ。なるほど。
 『週刊文春』の9月24日号に、今週のBEST10「おすすめのシネコンランキング」に、サロンシネマ&シネツインが第4位にあったというのだ。

 シネコンというくくりはあれっ? と思ったけれど4館あるのでミニ・シネコンなる解釈だろう。「リクライニングも可能なマツダの自動車シートや、フランスのキネット社製シート、さらに床暖房を装備したシートまで、シートへのこだわりは日本一といえる映画館だ」のコメントにスタッフ感激しつつもあらためてそれに恥じない様に精進努力を胸にきざみました。激励、御声援ありがとうございました。