『晩菊』

 連日上映されている「生誕100年 田中絹代上原謙特集」で、成瀬巳喜男監督の『晩菊』(1954年、東宝、101分、白黒)を観に寄った。観客は15人ほど。
 クレジットタイトルを見ると、林芙美子の小説三篇を元に、脚本を田中澄江井手俊郎が書いている。
 美術は中古智だ。『山の音』の美術も中古智だった。
 出演は、元芸者をしていた四人の女性を、杉村春子、細川ちか子、望月優子沢村貞子が演じている。
 この時代はまだ石炭産業が繁栄していた。東京から北海道の炭鉱会社へ就職に行く息子を見送りに行った後、母親(細川ちか子)とその友人のとみ(望月優子)が陸橋の上から線路を見下ろしていた時に、二人は通行人の女性がモンローウォークをして通り過ぎて行くのを見た。
 着物を着たとみが、それを見て自分も真似してモンローウォークを陸橋の上でするシーンが微笑ましい。
 上原謙杉村春子の元恋人役である。とみの娘役を有馬稲子が好演している。
 川島雄三監督の映画『東京マダムと大阪夫人』や『洲崎パラダイス赤信号』の芦川いづみに似ている感じ。