カウリスマキ監督『愛しのタチアナ』

北欧映画特集ポスター

「北欧映画特集」が映像文化ライブラリーで8日から始まった。
 8日、アキ・カウリスマキ監督『愛しのタチアナ』(1994年、フィンランド、62分、白黒)を観た。観客は25人ほど。
 1960年代に流行したロックンロールの音楽、ツイストの踊りがなんとも懐かしい。
 まだテレビは白黒テレビの時代。
 うだつのあがらない仕立て屋のヴァルトと自動車修理工のレイノ(マッティ・ペロンパー)がクルマで旅に出た。
 道中、二人の若い娘タチアナ(カティ・オウティネン)とクラウディア(キルシ・テュッキュライネン)を、ひょんなことから頼まれて彼女らが故郷へ帰るために港のある町まで送ることになった。
 タチアナはエストニア出身でフィンランド語が話せる。クラウディアはロシア人。
 途中、一泊して四人はやっと港にたどり着く。フェリーに乗り込んだタチアナらを見送った二人の男は、別れがたくて彼女らの乗ったフェリーに乗って一緒に(彼らにとって)外国であるエストニアへ渡ってしまうのだった。レイノはタチアナの家に着くと、ここで暮らすとヴァルトへ言い、残されたヴァルトはフィンランドの故郷の家へ戻るのだった。
 不器用な四人のやりとりのちぐはぐさをコミカルに描いている。何度もくすくす笑う。 
 ラスト近くで、カティ・オウティネンとマッティ・ペロンパーがフェリーの甲板で並んで風に吹かれるシーンがいい。
 この映画が、マッティ・ペロンパーの遺作だというのも感慨深い。