映画『昨日消えた男』

昨日消えた男

 「名作映画 マキノ雅弘監督特集」から、マキノ正博監督『昨日消えた男』(1941年、東宝、89分、白黒)を観た。長谷川一夫山田五十鈴高峰秀子が出演。長屋で大家が殺され、その殺された大家を憎む住人が大勢いるのだが、その犯人は誰かと事件の謎を解く展開にぐいぐい引き込まれ楽しめた。
 脚本が小国英雄である。長谷川一夫一人二役だ。
 長屋に住んでいる風来坊の文吉(長谷川一夫)と芸者(山田五十鈴)の会えば舌を出して互いに悪態をつくやり取りが微笑ましい。与力(江川宇礼雄)が遠山の金さん(長谷川一夫)の前でどんでん返しにあう場面が痛快だった。
 「そのとおり」「ああ、まったくだ」と繰り返しセリフを言う渡辺篤とサトウ・ロクローの二人の駕籠(かご)かきが愉快で可笑しい。
 昭和16年のちょん髷(まげ)の謎解き時代劇でオモシロイ。「そのとおり」「ああ、まったくだ」。