「湯川成一の美しい本たち」3

桜の開花

 18日は雑節で彼岸だった。彼岸の入りだ。20日、仏さんの花をもって墓参りに。
 21日、春分の日二十四節気のひとつ春分である。暑さ寒さも彼岸までというが、乾いた風で気温が低い。深みのある青空で、西よりの強風が吹く。
 通りや公園の桜が咲きはじめている。そばで花を観察するが強風で花が風にゆれる。
 夕方、日没とともに西の空に低く金星が輝いている。高度が15度位である。快晴の濃い青空にまばゆいばかりに宵の明星として楽しむことができる。

 ラジオ深夜便の「こころの時代」で、「湯川成一の美しい本たち」から、 湯川成一さんのお人柄をめぐっての談話を興味深く聴いた。*1
 その中からの断片的ですが、聞き取ったところを書いてみます。

 西橋 《ちょっと日常のお人柄といいますか、戸田さん書いてらっしゃった中に、「少ない言葉の中に剛速球が入っている」と・・・。》
 戸田 《そうですね。だからあんまりそのぺらぺらとお喋りなさる方ではなくてですね。ポツポツボソボソとおっしゃるのが、どれがどうと具体的には今思い出して言えませんが、ズキンとこう突き刺さるようなこと、ぽろっとおっしゃるんですよね。それが、まぁ、少ない言葉ですが、スピードは速かったですね。》

 西橋 《ある時期、蕪村そっくりの文字で、戸田さんのところに手紙が来たことがある。》
 戸田 《そうですねぇ。蕪村の絵やらその江戸時代の近世絵画の方に興味が行かれて、私も一緒に京都の古道具屋さんとか見て回ってまして、もう蕪村、蕪村、蕪村おっしゃって、蕪村の本も沢山今も書斎にございますけども。でー、やっぱりそのー、近づいて行くとだんだん似て来るっていいますかねぇ。蕪村の字見ていると、ある時湯川さんから手紙が来て見てみたら蕪村の手紙の字そっくりで、文面まで蕪村が書いたかのような候文で、あっと驚きましたけど。だんだん一体化されてきたなと蕪村と。湯川蕪村かなと思いましたけど。》(笑い)
 西橋 《それだけのまたでも技術もあり、ちゅうことですよね。》
 戸田 《そうですねぇ。だから本当に器用な方で、まあ、物事の素敵なところや美味しいところをすっと掬(すく)い取って、ま、自分のものにして楽しまれるというか、そういうところがあったと思いますね。えぇ。だから絵も字もやっぱし、あの好きな方のものに似たものがいろいろ残ってますが、非常に特徴を捉(とら)えて、スマートに表現されているなと思いますね。》

*1:出演は画家・戸田勝久、元印刷会社勤務・福永幸弘の両氏で、聞き手は西橋正泰さん。