「湯川成一の美しい本たち」4

桜の開花

 公園の桜を近くで眺める。最高気温15℃、最低気温2℃であるが、乾燥した風で肌寒く感じられる。花冷え。 
 ラジオ深夜便の「こころの時代」で、「湯川成一の美しい本たち」から、鉄斎をめぐる話の聞き書きですが、すこし書いてみます。*1 

 西橋 《贋物(にせもの)づくりの画家のことの話題がとってもお好きだったという・・・。》
 戸田 《そうですね。あの、ま古い物は贋物(がんぶつ)が多いので、その辺は非常に興味おありやったようで、上手にできて贋物(がんぶつ)見ては喜んだり、一時期は鉄斎という方の明治の江戸から明治の方ですけども、鉄斎の作品もお好きで、鉄斎美術館へご一緒したこともあるし、あのいろんなところの展覧ご一緒したり、古美術商で見ましたけども。鉄斎さんというのは非常に贋物(がんぶつ)の多くて有名な画家ですから。いろんな贋物(がんぶつ)を見て、お勉強なさっていたようで・・・。えぇ。ある時お電話あって、ちょっと一緒に見て行ってぇゆうて、湯川さんの車で京都の古書店に、鉄斎があるというので、見に行きましたが・・・。あのまぁ良く描けてましたが、パッと見てこれはあかんなぁと二人で、顔を見合わせながらも、ある部分は上手く描いていたんで二人とも納得して、うんこんな奴もおるんやと言って帰って来たことがありますけども。》

 このあと、湯川さんが古美術店で蕪村の絵のほうの弟子で、紀九老(きのきゅうろう)の屏風を入手した時のエピソードが語られる。*2

 

*1:富岡鉄斎 (1836〜1924)日本画家。京都の生まれ。名は猷輔、のち百錬国学儒学を修め、幕末は勤皇学者として国事に奔走。維新後は絵画に専念。南画・明清(みんしん)画・大和絵などを研究。水墨画に独自の画境をひらく。作「不尽山頂全図」「蓬莱仙境図」 『大辞泉

*2:注記:紀九老(きのきゅうろう)、紀楳亭(き ばいてい)の別号。