雨降りだからミステリーでも

疑惑

 アジサイの季節がやって来た。雨降りだからミステリーでも勉強しよう。
 というわけではないが、「特集・ミステリー映画探訪」に通っている。
 25日、野村芳太郎監督『配達されない三通の手紙』(1979年、松竹、130分、カラー)が上映された。
 6月のプログラムに、
 

萩の名家・唐澤家では、次女の紀子のもとに失踪していた婚約者・藤村が舞い戻り、謎の手紙のとおりに不可解な事件が起きる。エラリー・クイーンの『災厄の町』を、舞台を萩に置き換えて映画化したミステリー。

 脚本は新藤兼人である。
 次女・紀子に栗原小巻、長女・麗子に小川真由美、三女・恵子に神崎愛、藤村を片岡孝夫、藤村の妹・智子を松坂慶子、銀行の頭取をやっている唐沢家の当主を佐分利信、その妻を乙羽信子が演じている。
 アメリカからやって来た青年ボブ(蟇目良)と三女の恵子の二人が、紀子が偶然見つけた三通の手紙に驚いたその謎をめぐって物語が展開する。萩以外に、福岡、釧路といった土地が舞台になっている。
 26日、野村芳太郎監督『疑惑』(1982年、松竹、霧プロダクション、127分、カラー)を観た。雨降りにもかかわらず、昼の部で満員。原作・脚色は松本清張
 法廷での国選弁護人の佐原律子岩下志麻)と保険金殺人容疑者になった鬼塚球磨子(桃井かおり)の二人の確執が凄まじく、法廷での逆転劇にあっと驚く。ラストのワインの出てくるシーンの岩下志麻桃井かおりの啖呵(たんか)が痛快で、皮肉な物語の終わり方が好みである。