映画『水戸黄門 血刃の巻』

水戸黄門 血刃の巻

 今日は、雑節のひとつ半夏生(はんげしょう)である。
 7月プログラムに、
 

昨年の生誕百年を機に再び注目が集まるなか、映像文化ライブラリーでも、山中貞雄監督特集を開催します。「丹下左膳余話 百萬両の壺」「河内山宗俊」「人情紙風船」の3本の監督作品に、脚本を手がけた作品などを加え、夭折の天才監督・山中貞雄の軌跡を振り返ります。

 荒井良平監督『水戸黄門 血刃の巻』(1935年、日活、92分、白黒、無声)を観に寄った。*1
 大佛次郎の新聞連載小説の映画化。脚色は山中貞雄である。
 無声映画でセリフは必要最小限の文字で表され、そのぶん、役者の表情や身振りが強調された映像づくりがされている。山中貞雄の資質が脚色にうかがわれる。
 躍動感のある殺陣(たて)や大河内傳次郎をはじめとして、脇役がちょっと落語的なセンスのある動きでユーモラスな味わいがあり面白い。 
水戸光圀と浪人の立花甚左衛門を大河内傳次郎一人二役で演じ分けている。
 

*1:プログラムの解説:大佛次郎の新聞連載小説を山中貞雄がユーモラスな味を添えて脚色。「来國次の巻」、「密書の巻」に続く、大河内傳次郎主演の「水戸黄門」三部作の完結篇。将軍の世継をめぐる陰謀に立ち向かう水戸黄門の活躍を描く。(東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品)