映画『河内山宗俊』とパラパラ漫画

河内山宗俊

 9日、「生誕百年記念 山中貞雄監督特集」で、『河内山宗俊』(1936年、日活京都太秦発声、81分、白黒)を観に寄った。
 甘酒屋のお浪(原節子)は、弟の広太郎が幼なじみの花魁(おいらん)三千歳に同情して連れて抜け出したあと、二人で心中を図るが三千歳を死なせてしまう。
 森田屋の親分が弟にかわって身請け代三百両をお浪に払えと迫る。払えなければ身を売ることになる。
 その金を工面するのに河内山宗俊河原崎長十郎)と用心棒の金子市之丞(中村翫右衛門)が大芝居を打って大金を入手するのだが・・・。
 ラストの、広太郎を逃がすために河内山宗俊が体を張って、水路の路地で森田屋の子分らと乱闘する場面が迫力がある。中村翫右衛門河原崎長十郎の二人が好演。
 原節子のお浪は初々しく印象的だ。雪の降るシーンがいい。
 後先になるが、金子市之丞は夜店や香具師から場所代を集めている用心棒稼業。

 窓口で、シネマテーク・プロジェクト第2弾「生誕百年記念 山中貞雄監督特集 鑑賞の手引き」という30ページの小冊子を頂く。

 

 目次

 はじめに・・・1
 巡回作品紹介(監督作品)・・・2
  丹下左膳余話 百萬両の壺/河内山宗俊/人情紙風船
 巡回作品紹介(関連作品)・・・9
  水戸黄門 血刃の巻/大菩薩峠 第一篇 甲源一刀流の巻
  戦國群盗傳[総集篇]/その前夜
 コラム
 「鳴滝組」と「梶原金八」・・・8
  山中貞雄パラパラ漫画について・・・13
 山中貞雄フィルモグラフィー・・・14
 「生誕百年 映画監督 山中貞雄」シンポジウム採録・・・16
  青山真治廣瀬純クリス・フジワラ西山洋市

 4日、『大菩薩峠 第一篇 甲源一刀流の巻』(1935年、日活、77分、白黒)の上映時に「パラパラ漫画」が3本上映された。
 山中貞雄が学生時代に使っていた国語辞書に描いていた線画のパラパラ漫画を編集したアニメーションである。内容は、線画によるチャンバラ漫画であり、のちの「活動写真」の片鱗がうかがわれる出来だった。面白いパラパラ漫画アニメーション。