行水をすてる小池や蓮の花

 昨日の夕方、先日はつぼみだったハスの花だが、いつの間にか花弁(はなびら)が散っていた。
 一片、一片の花弁は大きい。手のひらほどのサイズ。
 花弁や雄蕊(おしべ)、そしてまだ小さな花托(かたく)が、ゆらゆらと池を吹き抜ける風に気持ちよさそうにゆれていた。
 散りかけている花弁は、群生したハスの池で緑の葉のなかに白く目にも鮮やかである。

 高浜虚子選『子規句集』に、「行水をすてる小池や蓮の花」。明治二十六年の句である。