「落語の中の食文化」2

 先週、ラジオ深夜便で「落語の中の食文化」と題する石毛直道氏の談話が放送された。
 第2回の今夜は、「長屋の花見」に出て来るご馳走の話であった。
 上方の落語「貧乏花見」が先にあって、大正時代に東京へ伝えられて「長屋の花見」になった。
 「貧乏長屋の連中がお茶を酒に見立てて、ありあわせの食べ物を酒の肴(さかな)に見立てて、花見に繰り出して、お酒ならぬお茶けで花見酒の茶か盛りを楽しむという大筋では同じですが、細かいところには関東人と関西人の気風の違いがあらわれます。
 たとえば、東京落語の「長屋の花見」は大家さんが店子の長屋の連中を主導する花見の会だが、一方、上方の落語「貧乏花見」には大家さんが出て来ません。朝、雨が降ったので仕事に行けない。その雨が上がったために長屋の連中が自発的に花見に出かけて行きます。
 東京落語の「長屋の花見」では大家さんが酒の肴に卵焼きと蒲鉾(かまぼこ)を用意します。
黄色い沢庵の卵焼きです。白い大根の香香(こうこう=漬物)を蒲鉾形に切って肴に見立てます。