「落語の中の食文化」3

 「貧乏花見」をCD「上方落語特選 笑福亭仁鶴 第一集」で聴く。
 貧乏長屋とは、裏長屋のことで、この噺では、その裏長屋の連中が、蒲鉾(釜底の飯のこげ)、おから(きらず)、玉子の巻焼き、蛸の足、煮豆、とりがいの酢の物を持って花見に行く。
 酒はお茶で代用。これを称してお茶け。
 花見の席で酒のつもりでお茶けを飲んで、ああこりゃ旨い。
 一本献じましょうか。黙って飲みや。
 どうですか。鰆(さわら)どうですか。
 えぇ! 鰆どこですか? (おからを指して)つもりにつもりになりな。
 ええ、酒。酒ですな。やっぱり宇治かどこかに知り合いがあるんですな。
 渋い渋いですな。しかし、なんですなぁ。
 そうこうしているうちに、裏長屋の連中は周りの花見の席のご馳走が食べたくなり、わざと出遭い喧嘩を起こしてそのドサクサまぎれに盗む。
 騒動が静まったあと、ご馳走が消えたことで盗まれたと気づいた花見席の客らが、長屋の連中に償いに踊りをするように、求めるのだった。