イチジクと「ラジオ文芸館」

 秋晴れの過ごしやすい気温の日がつづき、イチジクが大きく食べごろになっている。
 北海道ではイチジクの木は植えられているのでしょうか。以前、北海道の人からイチジクの木は見たことがないと言う話を聞いたことがありました。
 永田耕衣の句に、「天地に無花果ほどの賑(にぎ)はひあり


 夜、NHKラジオの「ラジオ文芸館」を聴く。三篇が放送される。
 最初の一篇は、サキの短編で「開けたままの窓」であった。大津栄一郎訳を宮本愛子アナウンサーの朗読で、とても短い作品。意外な結末のイギリス流ブラック・ユーモアが味わえた。

 次の朗読は、オー・ヘンリーの短編「桃源郷の短期滞在客」で、大久保康雄訳を村上由利子アナウンサーの朗読で聴いた。
 マンハッタンのブロードウェイにある涼しいホテルに、7月の日にマダム・エロイーズ・ダーシー・ボーモンという優美な婦人客が訪れた。
 マダム・ボーモンの訪れた三日後に、ハロルド・ファーリントンという青年が訪れた。
 貴婦人のようにふるまうマダム・ボーモンが落としたハンカチをファーリントンが拾ったことから、二人は親しくなる。
 ホテルを去る日がくる前にマダム・ボーモンが自分の正体をファーリントンに明かす。わたくし、あなたにお話したいことがあります。
 ファーリントンの方も自分の正体をマダム・ボーモンに明かすのだった。
 意外な真相の展開とラストの言葉が洒落ている短編。
「お休みなさい、ジミー」とマダムは言った。

 最後の一篇はアンデルセンの掌編「絵のない絵本」から。矢崎源九郎訳で、神田愛花アナウンサーの朗読である。
 第四夜、私は今夜ドイツ喜劇を観てきました、と月が言いました。という語りからはじまる。
 第二十二夜、私は小さい女の子が泣いているのを見ました、と月が言いました、という語りから始まる。
 第二十五夜、私はきみに、フランクフルトのある光景を話してあげましょう、と月が言いました。とはじまる。
 参照:ラジオ文芸館http://www.nhk.or.jp/bungei/archive/1010.html