「特集・日本文学と映画」の一本、中村登監督の映画『集金旅行』(1957年、松竹、102分、カラー)を観る。原作は井伏鱒二。
ひょんなことから借金回収の旅に出ることになる旗良平(佐田啓二)に、慰謝料を集める小松千代(岡田茉莉子)の二人が、男の子を一人連れて計三名で東京から山口県の岩国、山口、萩と巡り歩き、男の子の亡くなった父親が貸し付けていたお金を回収しに回る珍道中。萩からはもうひとり産婦人科の男(トニー谷)が加わって言葉のはずみから松江を訪れることになる。松江でその男を置き去りにして、男の子の母親のいる広島県の瀬戸田へ尾道からフェリーで渡り、母親に男の子を渡して東京へ戻ろうとしたが、お金が足りなくなり、千代が徳島に慰謝料を集める人がいるので、金策に徳島へ行くのだった・・・。
各地を訪れ祭りや観光名所を紹介しながら物語が展開する喜劇。脇役に桂小金治、十朱久雄、大泉滉、沢村貞子、西村晃、伊藤雄之助、トニー谷、花菱アチャコらが出演。佐田啓二と岡田茉莉子の二人の演技もすごく良かった。面白い映画である。岩国の錦帯橋や瀬戸内海やボンネットバスや蒸気機関車なども印象的だ。徳島の阿波踊りも。