トウカエデと雑誌の特集

トウカエデ

 晴れて北よりの風が強く吹く。落葉が吹き溜まりになっていたり、ひらひらと舞い落ちて来る。トウカエデの葉が色鮮やかだ。夕方にかけて気温が下がる。
 蕪村の句に、「西行の夜具も出て有紅葉哉
 雑誌『ブルータス』が「特集・映画監督論」だったから、手に取ってみた。
 映画監督アンケートで、今、川本三郎著『マイ・バック・ページ』を映画化している山下敦弘監督が、ジャ・ジャンクーの『一瞬の夢』や『プラットホーム』を挙げているのが嬉しかった。うーむ。なるほど。
 ジャ・ジャンクー監督の映画では、最初に観た『長江哀歌』が身震いするほど印象的だったので、その半年後に、「アジアの俊英 アピチャッポンとジャ・ジャンクー」の二人の監督の特集で、ジャ・ジャンクーの『一瞬の夢』、『プラットホーム』、『青の稲妻』の3本が上映され期待して見たのだった。期待以上に良かった。
 自由化の始まった中国の農村から地方都市に出てきたスリで日銭を稼いでいる青年や、地方都市にある劇団で幼友達である四人の若者の希望と不安を抱いて生きる姿を描いて印象に残る作品だった。主人公の首を傾げるしぐさがいい。