102歳の映画監督に乾杯!

アニキ・ボボ

 11月から12月にかけてあった「ポルトガル映画祭2010」が映像文化ライブラリーで9日に終わった。
 マノエル・ド・オリヴェイラ監督、ジョアン・セザール・モンテイロ監督、アントニオ・レイス、マルガリーダ・コルデイロ監督などの映画を観れた。残念ながら見逃した監督の作品もあるが、 マノエル・ド・オリヴェイラ監督の映画は5本見ることができた。

 『過去と現在 昔の恋、今の恋』(1972年、115分、カラー)
 『神曲』(1991年、142分、カラー)
 『アニキ・ボボ』(1942年、71分、白黒)
 『カニバイシュ』(1988年、101分、カラー)
 『春の劇』(1963年、91分、カラー)日本初公開

 『アニキ・ボボ』と『春の劇』の2本が、わたしには収穫だった。オリヴェイラ監督の資質が『アニキ・ボボ』によく出ていると感じられる。興行的には失敗作だったという。その後、長い沈黙の時期を経て21年後の『春の劇』である。
 
 『アニキ・ボボ』については、11月プログラムに、
 

オリヴェイラの長篇デビュー作。陽光降り注ぐポルトの街を舞台に、躍動するアナーキーな少年少女たちを縦横無尽に活写してネオレアリズモの先駆的作品と見なされる。「アニキ・ボボ」とは警官・泥棒という遊びの名前。幼い恋の冒険を「罪悪」と「友愛」の寓意へ変貌させるスケールの大きな演出は必見。

 冒頭、蒸気機関車の走って来るシーンから始まる。
 舞台はポルトの街で、アーチ橋が見えるシーンがある。
 小学校一年生か二年生の少年、少女らによる「アニキ・ボボ」という遊びが流行っている。隠れん坊のような遊びである。
 学校の授業が終わった後、子供らは河口の港で泳いだりして水遊びに興じる。
 小間物屋の店先に人形が展示されている。
 その人形が欲しいと思う少女に好意を抱いているおとなしい少年は、少女にプレゼントしようと自分の貯金箱を壊して買おうとするがお金が足りない。店員に厳しい店主の目を盗んで少年は人形を盗む。
 深夜、少年は少女の家へ屋根伝いに行き渡すのだった。屋根からずり落ちそうになる少年。
 プレゼントした少女は活発な少年の方に好意を抱いている様子。
 子供らが野外での「アニキ・ボボ」と歌いながら行進をする場面。その活発な少年が崖から足を滑らせて、崖下の線路に落ちる。
 怪我をして入院する。突き落としたのはおとなしい少年だとされるのだが、そのことで少年は眠っていて悪夢に苦しむ。
 子供らの後を付けて来ていた小間物屋の店主が、活発な少年が自分の不注意で足を滑らせて線路に落ちて行ったのを目撃していた。
 店主の証言でおとなしい少年は無実を晴らすのだった。怖そうな店主は善意の優しい心の持ち主だった。少年と少女は仲直りするのだった、
 ラストも蒸気機関車が走って来るシーンで終わる。
 1908年12月11日生まれのマノエル・ド・オリヴェイラ監督に乾杯!