地球の上に朝がくる2

地球の上に朝がくる

 午前の小雨の後、夕方に晴れ間が見え、月が東の空に低く昇って来ていた。
 今宵は満月である。この時期は小雨が多い。
 そういえば、20日は二十四節気のひとつ穀雨である。

  地球の上に朝がくる
  その裏側は夜だろう
  西の国ならヨーロッパ
  東の国は東洋の・・・・・・

 《最初の声は、川田晴久とダイナ・ブラザーズだった。いまなお耳の底に、あの澄んだ張りのある声を聞くような気がする。川田節とよばれて一世を風靡した有名な出だしである。》
 という一文ではじまる池内紀著『地球の上に朝がくるー懐かしの演芸館』(河出書房新社)を読み継ぐ。
 それは昭和二七年二月末のことで、池内少年十一歳のことであった。《翌年、父親が死んだ。》

地球の上に朝がくる―懐かしの演芸館

地球の上に朝がくる―懐かしの演芸館