伊勢の海の魚介豊かにして穀雨

 今日は、二十四節気のひとつ穀雨で、透き通るような青空が広がっている。
 ソメイヨシノは散って葉桜になっていた。八重桜は今が盛りである。
 穀雨とは、『大辞泉』によると、《穀物を育てる雨の意》とあり、引用句は「伊勢の海の魚介豊かにして穀雨」(長谷川かな女)。
 「出版ダイジェスト」が届いた。「白水社の本棚」2011年春号のコラム「愛書狂」を愛読している。
 古書マニアの岸部シローの蔵書、吉田健一著作集全三十二巻が、新古書チェーン店によって一冊二十円と査定され、三十二冊でたった六百四十円で売られた話を話題にしている。
 新連載は鎌田浩毅、小池昌代、城山英巳の各氏。
 ダイヤモンド社のPR誌「経Kei」4月号の連載「池内紀の名言教室」(36)が最終回だった。
 その名言は、
 

 何の用事もなしに旅に出るのが
 本当の旅だと前にも書いたことがあるが、
 せっかく、用事がない旅に出掛けても、
 結局はひどく忙しい思いをさせて
 何にもならなくするのが名所旧跡である
  吉田健一『或る田舎町の魅力』より

 来月(5月)の刊行本に、池内紀著『作家のへその緒』(新潮社)とバルテュス/R・M・リルケ序文の『ミツ バルテュスによる四十枚の絵』(河出書房新社)があるようだ。
 バルテュスの絵本の序文をR・M・リルケが書いている。
 海野弘著『おじさん・おばさん論』(幻戯書房)風に言えば、リルケバルテュスにとって特別の「おじさん」になるのかなぁ。
 しかし、金井美恵子著『ページをめくる指』には、少年バルテュスの『ミツ』という絵本に付けたリルケの文に対しての辛辣な意見があるのを思い出した。金井さんの筆にかかるとリルケもただのおじさんになる?