『ラリーのスピーディ』と稲垣足穂

 残暑がつづく。昼は、蝉しぐれである。夜になると虫の声が聞こえるようになった。
 街路樹の棗(ナツメ)の実が鈴なりである。
 冬の間に根元の周辺に肥料を埋めていたので、例年にくらべると実が大きい。
 正岡子規の明治二十九年の句に、「行脚より帰れば棗(ナツメ)熟したり」。
 もう一句、「竹棹のさきに夕日の蜻蛉(トンボ)かな」。
 
 先日の「夏休み活弁ワークショップ」活動弁士にチャレンジ! で、小学生や中学生、高校生が三人から四人でグループになって音のない映画に、みんなで考えたせりふをつけて台本をつくり、活動弁士佐々木亜希子さんの指導のもとで映画を何度もみながら語り方を練習した成果の発表を、
「夏休み活弁シアター」と称して鑑賞したのだった。
 その無声映画は、
 1、アニメーション、瀬尾光世の『一寸法師 ちび助物語』
 2、アメリカのドタバタ喜劇『ラリーのスピーディ』
 3、1902年、ジョルジュ・メリエスの『月世界旅行 
 『ラリーのスピーディ』で、驚異的なスピーディな登場人物の動きに目を奪われた。 
 それで、この映画のことを調べると、なんと稲垣足穂が文献的に浮上して来る!
 「週刊朝日」(1928年10月)に、「今は思い出のラリー・シーモンへ」と題して、稲垣足穂が書いている。
 後に、「ラリー・シーモンの回想」と改題している。

 参照:「人間人形 ラリー・シーモン劇場」 http://www3.ocn.ne.jp/~tarho-ar/contents/cinematograph/larrysemon/larryprofile.html#hajime