夕風や水青鷺の脛(はぎ)をうつ

 

 橋を渡っていると、大きなつばさを広げた鳥が低空で、滑るように飛んで来た。
 すーっと、滑らかに橋のたもとの岸辺に着地する。
 アオサギだ。
 橋の上は人が多く歩いているが、人の気配に平気でまっすぐ立っている。
 遠くから見ると鶴ではないかと思えるほどの大形の鳥だ。

 

サギ科の鳥。全長約九五センチ。背面が青灰色、目の後方と冠羽が黒い。水田や湖沼で魚・ザリガニ・カエルなどを食べ、木の上に巣をつくる。  『大辞泉

 引用句は、与謝蕪村で、「夕風や水青鷺の脛(はぎ)をうつ」の句である。
 大辞泉の文面は、青鷺の脛(はぎ)の「脛」を「すね」と記しているが、尾形仂(おがたつとむ)校注の『蕪村俳句集』によると、「脛」の読みは「はぎ」である。
 「夕風や水青鷺(あおさぎ)の脛(はぎ)をうつ」、安永三年、四月十五日の句。